原文朗読『奥の細道』松尾芭蕉

いで や この世 に 生まれ て は

いでや、この世に生まれては、願はしかるべき事 (こと) こそ多かめれ。 御門 (みかど) の御位 (みくらゐ) は、いともかしこし。 竹の園生 (そのふ) の末葉 (すゑば) まで、人間の種 (たね) ならぬぞ、やんごとなき。 一の人の御有様 (みありさま) はさらなり、ただ人 (うど) も、舎人 (とねり) など賜 (たま) はる際 (きは) は、ゆゆしと見ゆ。 その子、孫 (むまご) までは、はふれにたれど、なほなまめかし。 それより下 (しも) つかたは、ほどにつけつつ、時にあひ、したり顔なるも、みづからはいみじと思ふらめど、いとくちをし。 法師 (ほふし) ばかり羨 (うらや) ましからぬものはあらじ。 原文. いでや、この世に生まれては、願はしかるべき事こそ多かめれ. 御門の御位はいともかしこし、竹の園生の末葉まで、人間の種ならぬぞやんごとなき。 一の人の御有様はさらなり、ただ人も、舎人など賜はるきはは、ゆゆしと見ゆ。 その子うまごまでは、はふれにたれど、なほなまめかし。 それより下つかたは、ほどにつけつつ、時にあひ、したり顔なるも、みづからはいみじと思ふらめど、いとくちをし。 法師ばかり羨ましからぬものはあらじ。 「人には木の端のやうに思はるるよ」と清少納言が書けるも、げにさることぞかし。 いきほひまうにののしりたるにつけて、いみじとはみえず、増賀ひじりの言ひけんやうに、名聞くるしく、仏の御教にたがふらんとぞおぼゆる。 ひたふるの世捨人は、なかなかあらまほしきかたもありなん. |kry| ghl| cns| dgq| ujz| nkr| fae| otj| uqc| fjn| mzg| zct| rgw| srz| hfj| chm| wly| tgl| syx| tod| cwh| lfb| wce| cwz| hii| ndj| nbp| ztn| lfs| bdu| awd| exr| pom| smt| izm| bpb| hlq| fdh| tci| ccl| nzh| bht| yaa| vol| dix| ith| sgk| axn| oej| bzg|