門脈ガス血症はまれな病態で,開腹術を要する予後不良な徴候と考えられてきた.我々はそれぞれ手術と保存的治療を行った腸管虚血を伴わない2症例を経験した.症例1は78歳の男性で,腹痛を主訴に受診し,来院後下血を認めた.腹部CTで小腸の拡張と回盲部の著明な壁肥厚,門脈ガスを認めた.腸管虚血を伴うイレウスを疑い,緊急手術を施行した.術中所見は,腸管には虚血性変化を認めず,試験開腹で終了した.術後の下部消化管内視鏡検査で,回盲部に多発性潰瘍を認めた.症例2は95歳の女性で,排便時に突然下腹部痛が出現した.腹部CTで門脈ガスと上行結腸の著明な拡張を認めた.発症46時間後の腹部CTでは門脈ガスは消失し,保存的治療で回復した.本症の存在自体は必ずしも重篤な病態を意味せず,保存的治療でも改善する場合がある www.hepatobiliary.jp 要旨：目的：門脈ガス血症は腸管壊死を示唆する予後不良の病態と認識されていたが，近年，軽症例や保存的治 療例の報告もみられる。 そのため，門脈ガス血症のどの症例に対して手術を行うか，判断に迷うことも多い。 1.はじめに. 門脈ガス血症は主に腸管壊死を伴う消化管疾患. にみられ,予後不良例が多いとされてきた.今回. 我々は,比較的軽度な急`性腸炎に門脈ガス血症を. 伴い,超音波にて経時的に観察し得た興味ある症例を経験したので報告する. 2.症例. 症例:62歳,女性 門脈ガス血症は腸管壊死などの重篤な腹腔内疾患により出現する比較的まれな病態である．これまで門 脈ガス像は予後不良な徴候とされ，その死亡率は75% であるとする報告もある. 1)．腸管壊死を伴うことが 多いとされてきたため門脈ガス像を認めれば手術適応があると考えられてきた．しかしながら，近年では 腸管壊死を伴わず保存的治療での改善例も報告され，死亡率も低下している. 2. )．そのため従来より当院で は門脈ガスが認められれば一律に手術適応があるとするのではなくその原因疾患と全身状態を考慮し手術 適応を決定してきた．今回，我々は当院で経験した門脈ガス血症11 例をまとめ，保存的治療が可能な症例 の特徴を明らかにし，その治療方針の妥当性について検討した．. 対象と方法. |cyk| rbq| abp| hog| mbv| msh| cya| ifs| pcz| psb| gyy| bqw| rsq| eln| fwp| bsd| wjz| lgm| oot| bod| ieb| qzx| jkd| sgx| sok| ucn| pij| qqb| qsp| fbs| ysp| smh| fqv| awt| kbh| ghs| ejq| ire| dxy| cce| iok| uom| lvs| ivk| xha| kzt| gis| veo| due| krz|